こんにちは、インターネットコンテンツのところてんです。
最近はNewsPicksで面白いコンテンツを見つけたので、色々と楽しんでいました。お前もインターネットコンテンツになるんだよ。
そういうわけで、今回はかつてNewsPicksのビジネスモデルを分析した際の資料から、適当に再構成したポエムです。
リアルで解説したことは何度かあるのですが、そういえばインターネット上では公開していなかったので、適当に書きだしておきます。
おばさんは何故ワイドショーを見るのか
さて、NewsPicksの話をする前に、ワイドショーの話をしましょう。
なぜ人はワイドショーを見るのでしょうか。
それは、多くの人が新しい情報を得たいと渇望する一方で、Factを理解できないからです。そして、人は理解できないことに対しては著しい不安を覚えます。
人間の脳は基本的に大昔からのシステムでいろいろとバグっているので、事実を事実として受け取れないのです。人間の脳は事実から過度に因果関係や物語を読み解こうとします。そのため、Factだけが提示されたニュースというものは、人は受け入れがたいものなのです。
例えば認知バイアスの一種である公正世界仮説などはその一例です。
このような人の持つ性質に対して、ワイドショーはコメンテーターの解説を提供します。これにより、Factを受け入れられない人でも、コメンテーターが語る因果や、コメンテーターの肩書によるハロー効果、コメンテーターそのものに対する共感により物事を理解した気になります。
これがワイドショーがなぜ需要があるのか、という話になります。
おじさんは何故NewsPicksを読むのか
さて、本題です。
おばさんをおじさんに置き換えましょう。
ワイドショーをNewsPicksに置き換えましょう。
コメンテーターをProPickerに置き換えましょう。
はい、これが「おじさんは何故NewsPicksを読むのか」という答えです。
つまりはこういうことです。
- おじさんは視座が無いので、記事を読み解くことができない
- 記事を読み解けないので、不安になる
- おじさんは、肩書付きProPickerの解説を読んで、「俺もそう思っていたわ」と言い、Likeを押す
- ProPickerは肩書でLikeをされているのを、言動でLikeされたと勘違いして、どんどん狂っていく
なぜNewsPicksにボンクラCSOオジサンみたいな人が現れるのかもこれで説明が付きます。
何かを言っているフリをして何も言っていない、おじさん
以下のセリフは、NTTの現役とOBが交流するSlack上で語られた、クソ上司の実体験を統合して作られた、仮想のクソ上司です。
こんなのtweetをした直後に、本物を見れるとは思わなかったよ。
視座を持たず、Factを理解できず、共感やハロー効果でしか物事を理解できない人、というのは一定量いて、そしてそれが世の中の大多数です。
そのような大多数を安全にコントロールするための最適化として、「何かを言っているフリをして何も言っていない」というのがかつては有効でした。
「肩書+何か意味ありげなことを言っている」で人は従ったのです。ハロー効果に逆らって認知を正すというのは、なかなかできることではないのです。
しかし、それがインターネット上になってくると状況が変わります。
世の中は、相手の肩書を基準にして物事を考えるレガシーおじさんだけではないのです。
インターネット上の発言は文章化され記録が残ります。そのため、何かを言っているフリをして何も言っていない発言は、容易に見抜くことができます。
また、大企業のお偉いさんだって、直接会わなければハロー効果はなかなか発揮しづらいものです。
そのためNewsPicksでは、過去の杵柄を発揮してして活躍されているアレなおじさんを観察することができるわけです。
さよなら、おっさん。
「さよなら、おっさん。」は、ちょっと前にNewsPicksが打った広告のコピーですが、その解説にこんなのがありました。
もし「NewsPicksの精神がおっさん化した」と感じられたときには、みなさまからの厳しいコメントをいただければ幸いです。
おっさん化したも何も、最初からおっさん向けやんけ。
肩書のハロー効果により耳目を集めるのは、レガシーメディアなんじゃないですかね。本当にNewsPicksがオープンな場だと思っているなら、肩書表示を一度消してみたらいいと思う。
それで、アクセス数や議論がどのように変化するのかを分析したらいい。
まとめ
NewsPicksはワイドショーと同じ構造を持ったメディアです。
多くの人は視座を持たないため、Factをそのまま理解することができません。そのため、物語、視座、共感を提供してくれる第三者というものが高い価値を持ちます。結果、多くの人は「分かった気」になり精神的に満足することができます。
NewsPicksはPickerやProPickerが物語、視座、共感を提供してくれるため、多くの人を「分かった気」にさせ、精神的な充足を提供することができています。そのため、インターネット上にワイドショーの構造を構築できたNewsPicksはビジネス的に成功しました。
twitterでは地獄メディアと評していますが、私がオフラインでNewsPicksの構造を解説するときは「金魚の糞メディア」と呼んでます。
余談
以下の書籍はこのあたりの話を過去の歴史を踏まえて解説しており、大変面白かったです。NewsPicksの構造を分析する際の助けになりました。
また、ワイドショーは物語を提供することで、視聴者に満足感を提供しますが、これによる害というのも考えねばならん問題です。以下のスライドは公正世界仮説に基づいて、被害者を責める行為が何故おこるのかを解説した素晴らしいモノです。
余談の余談
そうそう、ちなみにtwitterもワイドショーと同じ傾向があるメディアだから、みんな気を付けようね。視座を持たないと、他人の発言を読んで「分かった気」になってLikeやRTをするだけになっちゃうから。