こんにちは、今日も今日とて講義と称して大学生に性癖をぶつけていく非常勤講師のところてんです。
大学での講義依頼お待ちしております。こんな感じの講義とかできます。
さて、本日はインターネッツ秘密結社PyspaによるPyspa Advent Calendar 2020のお時間です。昨日のAdvent Calendarの担当者はymotongpooの「自作キーボードにはまっている話を2万字で説明します #自作キーボード」でした。
今日のテーマは「DX芸人始めました」という怪文書です。まぁDXなんてのは冷やし中華みたいなもんだと思ってください。
ちなみに昨年の話:心理的安全性芸人
ちなみに昨年は心理的安全性芸人をしていました。心理的安全性を確保したコミュニケーションサービスをどうやって作るか、というのを念頭にVeinという自社サービスを開発していました。グループソーシャルブックマーク+グループRSSリーダーみたいなアプリです。
その過程で心理的安全性についていろいろと勉強したり、整理したりしたので、そのことを外部で話していたら、心理的安全性のワークショップの依頼が来たり、講演依頼がきたりなんだりしていました。
ちなみに、Vein自体は特にヒットすることもなく、とあるAIベンチャー企業や、とある上場企業で使われていたりしますが、私が使っていて楽しいツールということで、細々と開発を続けています。まぁ、楽しいよ。
さて、そんなこんなで昨年は心理的安全性芸人をしておりましたが、今年はDX芸人をしております。
ことのはじまりは緑の恐竜
とある人から、「闇のDevOps」について社内講演してほしいという依頼がありました。
大本の資料は2013年に九工大のM1向けの学生に行った講義で、このブログ記事自体も2017年でだいぶ時間がたっておりアップデートは必須でした。
さて、これは困ったわけです。研究所向けの内輪の講演なら、私はこんなこと考えてますよー、という程度で許されますが、全社向けとなるとエビデンスが全く足りません。🦐🦐🦐🦐
おまけにこのブログ記事は、大学院向けの講義でDevOpsの解説を頼まれたけど、DevOpsの技術的な説明ができないので、歴史と抽象論に逃げた結果の産物だったりします。
加えて、「DevOpsだけじゃなくてDXについても解説してください!いま弊社ではDXがブームなので!」という依頼がかかります。
これは困ったぞと、「DX」なんて言葉はその場で初耳なので、まったくわからんわけです。かくして「DX」なるものの勉強の日々が始まりました。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ
そうして、DXの勉強をしていくにつれ、日本の労働環境の問題というものに直面してくるようになりました。そこで、Twitterでなんかいい労働の歴史の本をないか聞いてみたところ、いくつかの本を紹介されたので、すべて買いあさってみて、その中から日本の雇用と労働法をという素晴らしい本とであうことができました。
この本のおかげで、闇のDevOpsの記事に欠けていた労働法周りの問題について、十分なエビデンスを持って書くことができました。🦐🦐🦐🦐
ちなみに私が紹介した結果、Amazonでの売り上げが跳ね上がり、在庫が払底して、中古価格が高騰してしまったようです。
市場原理って楽しいなぁ。
かくてして締め切りは訪れる
そんなこんなで、いろいろ調べてはいたものの、タイムアップが訪れてしまい、できたスライドがこれになります。
DX関連の書籍を何冊も読んでみたところ、DXとは何かがさっぱり分からず、DXの何たるかがわからないまま時間は無慈悲にも訪れてしまい、仕方なしに自分がいまわかっていることの範囲内で資料を作るわけです。
DXとタイトルに書いてあるけど、DXとは何ぞやという話は非常に薄めになっていて、DevOpsと労働慣習からくる日本社会の限界(これも日本的DXの一部)について話したものになっています。
私としては満足いくものではないのだけれども、それでもだいぶ好評だったようで何よりです。もともとNTT向けに書いた記事をベースにしていたので、Fさんにもいい感じに刺さっていたようです。
いやー、F社の担当の人、これ発表してよかったんすかね?あとで怒られてないかな?
そして始まる第二ラウンド
そうこうしているうちに、「DXとかDevOpsのなんかいい感じのやつ」が好評になり、いくつかの会社さんからDXの講座をやりませんか?という声がかかり、その中でAidemyさんと手を組んで、オンライン講義をやることになりました(選定基準は金払いの良さ)。
さて、F社でやったときのように、DevOpsや労働問題を中心としてお茶を濁すわけにもいかず、そろそろまじめにDXについての学ばなければならない事態になったわけです。さぁ困った。
というわけで、大本の原因である緑の恐竜に相談したところ、
「DXはデジタルネイティブな組織、シリコンバレーの企業みたいになることだよ」という核心的な一言をもらって、ここから一気に資料が進むことになります。
具体的には、日経BPの中田さんの以下のスライドがベースとなって、DXの講義資料は作られていきました。講義資料を作っている際はこの資料の存在を思い出すことができず、こういう資料を読んだはずだよなぁという思いで欧米のDXに関する文献を読み漁り、講義資料を作り、講義の収録を終えた後に、自分の探していたのはこれだった!と見つけることができました。なのでまぁ、パクリではないです、たぶん。(事前に見つけられていたら講義資料の中で絶対に引用している。)
つまるところ、DXとはディスラプトなプロダクトを作ることではなく、ディスラプトなプロダクトを作るための組織をどのように作るか、そのための方法論はちゃんとまとまっているので、みんな勉強しようぜってことです。
違う言い方をすると、企業の価値の源泉、すなわちアジリティの源泉が、総合職の人事異動から、ITシステムの継続的な開発へと変化したということがDXであるともいえます。
また、資料を作るにつれて、経産省が提唱する日本的DXと、中田さんの資料などに見られる欧米のDXの乖離も明らかになってきました。日本的DXをモード1、欧米のDXをモード2と整理することで、DXの流れをきれいに階段状にできたことは非常に満足しています。
最終的にできたオンライン講義が以下になります。リリースから2週間は無料で視聴できるようなので、12/13くらいまでは視聴できると思います。話したいことを全部詰め込んだら150ページ超、3時間分の講義になりました。
さすがに3時間は長すぎるということで、内容を削りまくって1時間半のバージョンも別途作られることになりました。
またAidemyさんの資料の中に入れ損ねた話や、いろいろなDX関連の本を読んで、さっぱり全体像が理解できなかった恨み辛みをまとめて、勉強会で話したものが、以下になります。日本の文献はいろいろとDXの定義がねじ曲がっているので海外の文献を読んだほうがいいです。海外の文献では、レガシーシステムの問題などには触れられておらず、大企業がシリコンバレーの機能をどのように取り込むか、というのが中心です。
その他:エビデンス🦐が足りなくて講義資料に入らなかった話
DXとはプラグマティズム
まぁ、DXは思想だよね、という話。
DXとは米軍
DXとは思考の転換であり、失敗の本質に書かれていたことそのままやんけという話。
DXとは社会の分断による社会変革
DXは焼き肉のたれ
武富士はDX
日本企業のDXに対する取り組み
2020年はDXな1年だった
結局昨年12月にF社さんからDXの講演依頼をいただいてから、根性でDXの勉強を始めて、まぁ半年でDXについて人前で話ができるかな、くらいには勉強することができました。もともとDevOpsやIT産業の労働問題に関して興味をもっていたのも大きいかと思いますが。
今回のAidemyさんの講演をもとに、声をかけてくださった会社さんもあり、なんだかんだで飯のタネにはなっています。お仕事の依頼は弊社サイトからお願いします。
そんなわけで再来週の12/23にDXに関する無料セミナーをやるのでよかったらご参加ください[PR]
この一年はいろいろありましたが、そんなこんなで緑の恐竜がだいたい悪いけど、まぁ飯のタネになってるからまぁ許す。
いや、俺が許しても、俺の尻は許さんけどな。
そんなわけでDXに関する本質情報です。
明日のPyspa Advent Calendarの担当者はwozozoです。
皆様良いお年を